西宮青年会議所 活動報告

2013年度 理事長所信

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2014年度LOMテーマ・スローガン

はじめに

 わが国では聖徳太子の時代から「和」と言う言葉が広がり、日本における「和」の精神は多くの日本人が持つ特性と言っても過言ではありません。元来、農耕民族で隣人と協力し合いながら生きてきた日本人は、争い事を好まず、敵対する事を避け、共に仲良くしていこうという考えを持っている平和を願う人種です。日本人の「和」の精神は、謙譲の美徳として世界に誇れる人格なのです。日本人には、何事に対しても誠実で、地域社会や国家の望みを優先し公益を求める高い志が兼ね備えられており、さらには相手の立場に成って考える利他の精神、すなわち「OMOIYARI」の精神が根幹から根付いています。
 しかし、昨今の日本国内を見渡せば、いじめ問題や青少年が関わる凶悪犯罪が横行し、約3万人の自殺者が14年間も続いているのが現状です。このような心の内戦が起こり続ける背景には、社会が豊かに成った反面、日本人の心の豊かさが失われていることが原因ではないかと考えます。何もない時代から何でもある時代へと時が進むに連れ、戦後の国家再建を図る夢や希望を抱いた先人達に比べ、それらを探しにくい時代になったのかもしれません。だからこそ、現代の日本国内さらには世界中において、会社や地域または一人対ひとりの人間関係の中で「和」の実現が求められているのです。

 また、「和」と言う言葉には「和える」という読み方もあり、「異なるものを混ぜ合わせ、 馴染ませること」と云う意味を持っています。つまり、新たなより良い物を創りだす為に、個々の特性を活かしながら、それぞれを融合させるのです。ここで、西宮というまちについて考えてみましょう。西宮は阪神間モダニズムの象徴と言えるまちであり、明治以降は鉄道の開通や沿線開発に伴い、別荘地または住宅地として発展し、教育に適した環境を求めた大学等も多く建設されました。新たな文化や生活スタイルを取入れる際には、本来の性質が壊れる恐れが有ります。しかし、変えるべきものは変え、変えてはならないものは変えず、最良の取捨選択で元々の文化と異文化をうまく「和え」ながら発展を遂げてきたという観点では、西宮は「和」を重んじるまちと言えるでしょう。
 この西宮というまちをより良くするために、西宮青年会議所では64年の長きに渡り20歳から40歳迄の青年経済人が会議を重ねて参りました。そして、まちの為に様々な運動を展開し、行政や諸団体、市民との「和」を構築して参りました。毎年様々な角度で検討された運動を展開し、一年一年を集大成として積み重ねられたその歩みこそが、西宮青年会議所の誇れる「和」の歴史なのです。この先人達が歩んで来られた歴史を学ぶ事により、私達の団体の価値と可能性を見出さなければなりません。
 青年会議所の目的は今も昔もただ一つ、恒久不変な世界平和の実現です。そして、青年会議所はボランティア団体ではなく市民意識変革団体です。諸先輩方が紡いでこられた64年に渡る「和」の歴史を重んじ、また古より伝えられてきた日本人の「和」の精神を以て、西宮というまちで意識変革運動を続けて参ります。そして、市民が率先し、市民が連携した社会を構築して参ります。その為にも、私達自らが兼ね備えているスキルを活用し、新たな時代の社会貢献活動や公益的価値観を養い、プロボノ(※1)の推進を図ります。

 国やまちを愛する人々が集う「まちの和」、すなわち利他の精神で公に尽くす志。国境や人種を超越した「世界の和」、すなわち地球規模でのグローバルな運動とネットワークの確立。愛が溢れる「仲間と家族の和」、すなわち自分の為に陰で支えてくれる人への感謝。国家を動かす原動力である「社会の和」、すなわち私達自身が原動力となる自覚と行動。これらの4つの「和」を実現する為に、謙譲の美徳である日本人の「和」の精神を兼ね備えたリーダーシップを発揮し、プロボノの精神を持った運動を展開して参ります。そして、時代と共に変化する様々な問題に対して現状を見据えた運動を展開することで西宮に必要とされる西宮青年会議所を確立し、また私達の活動を通して自分自身が必要とされる社会資源に成長して参ります。

国やまちを愛する人々が集う「まちの和」

 西宮青年会議所はこれまでに様々なまちづくりを展開して参りました。その中でも、西宮市民祭りや西宮をPRする会が行う甲子園での人文字事業等、現在も継続されている事業が多数あります。時代を担うべき私達青年が積極果敢にまちづくりに携わり、公共を知り、まちを想う。まちを想う心がこの国の未来を創造し、明るい豊かな社会の実現に向けて一歩前進するのです。
 近年ではボランティア団体やNPO等の団体が増えて参りましたが、私達と大きく違うのは会員が20歳から40歳迄の青年経済人で構成されている事です。阪神間モダニズムに代表される西宮らしさを意識しながら、学生や地域の方々、行政や諸団体と共にネットワークを確立し、新たな西宮の魅力を創出します。そして、まちを愛する想いが集結する事業を実施し、国やまちを愛する人々が集う「まちの和」を実現します。

 文教住宅都市である西宮市には関西でも有数の学び舎が存在し、多くの人達が学生時代をこのまちで過ごした事でしょう。この国の未来を創り出して行くには、青少年の育成が必須です。未来を託すべき青少年が社会を変革する源であるならば、私達は彼らを運動の対象者としてではなく、運動の主体となるべき存在であると捉え、青少年の為に動くのではなく、青少年が自ら志を持って行動できるようになる為の運動を展開して参ります。その為には、私達自身がリーダーシップを発揮し、青少年の目標と成らなければなりません。私達がお手本となり大人も共に学ぶ姿勢を持って、未来を担う青少年に「和」の精神を伝承して参ります。

国境や人種を超越した「世界の和」

 現代のグローバル化された時代において、内向き思考な推察や知識だけでは充分と言えない時代に突入しています。今後の国際社会では英語が話せるだけでは不充分であり、如何にグローバルな視野を持って国際社会で活躍出来るかが求められています。そこで、「国際の西宮青年会議所」を確立する為にも国際姉妹JCとの合同事業を通じて海外メンバーとの相互理解を深め、会員一人ひとりに民間外交員としての素養を育みます。さらには、5年ぶりの日本国内開催となるASPAC山形大会でのジャパンナイトにおいてブース出展を行い、日本の魅力を海外メンバーに発信し、国境や人種を超越した「世界の和」を築き上げます。

愛が溢れる「仲間と家族の和」

 青年会議所活動を行っていく上で、私達は自分一人で活動しているのではありません。私達の活動の裏には、愛する人達の目に見えない支えが存在します。一番身近で私達を支えて下さる家族は勿論の事、社員や同僚にも日々感謝をしながら活動しなければなりません。だからこそ、私達は常に会社や家族に応援して貰えるよう、本気で自己の成長を図る必要があります。その自己成長の鍵は日々の活動を通した人と人との交流の中にこそ存在します。私達は現役会員だけの交流に留まらず、卒業された諸先輩方との交流も積極的に図り、古き良き時代の西宮青年会議所を現代へと継承して参ります。そして、青年会議所活動の中に愛が溢れる「仲間と家族の和」を築きあげます。

 「私達は他人の幸せや喜びをねたむほど落ちぶれてはいない。皆さんどうぞ我慢せず楽しい時は笑い、嬉しい時は喜んでください。私達も一日も早く皆さんに追いつきます」2011年3月18日に報道された、家を無くした40代女性の言葉です。
 3.11の東日本大震災が発災した時は、近畿地区大会西宮大会の式典会場の下見を行っている最中でした。テレビ放映では、流されていく町や全国の津波警報が流れており、現実を疑わずにはいられませんでした。関東で活動をするJAYCEEに連絡を取っても繋がらず、多くの犠牲者や被災者が出ている事や、食料や水も無い状況が予想される中、地区大会の大懇親会を担当していた私は、笑う事や前向きに考えることができない状態でした。会議の中では、お祭り事に近い大懇親会を実施するか否かの議論もあり、大懇親会を実施するなら会を脱退すると言った会員もいました。しかし、私の気持ちを押してくれた40代女性のその言葉は、今も尚忘れる事はありません。浪江と南双葉の両青年会議所との姉妹締結は復興への架け橋です。私達は青年経済人として、復興の一助となる現実的且つ効果的な支援を両青年会議所と手を取り合い実行して参ります。

国家を動かす原動力である「社会の和」

 日本国内の青年会議所会員が少しずつ減少している中、西宮青年会議所はここ数年で会員数を飛躍的に増加させて来ました。それは、会員一人ひとりが拡大に繋がる人的資源そのものであるという意識付けがなされてきたからに他なりません。今年度も、私達一人ひとりが「和」の精神を持ち合わせた資源と成り、会員拡大に力を注げば50%拡大も夢ではありません。西宮青年会議所の未来の為、今迄以上に西宮に必要とされる憧れの団体、また会員にとっても有益な団体を目指す為にも、会員拡大を行って参ります。企業セミナー、異業種交流会等で、他団体及び西宮市内の企業や個人との「和」を広げ、青年会議所活動を共に推進していただける若きリーダーを発掘して参ります。

 「孔子は己に勝る友との出会いを求め続け、己の内に師を求め続けて、己に勝ち、己を越え続けた。」とあります。多数の書籍が発刊され、様々な情報が飛び交う超情報化社会になりましたが、誰かが自分を助けてくれる訳では無く、自分の魅力や人生の充実度、または会社の業績等は、全て自分自身で取捨選択してきた結果と言えます。自分に満足し、学ぶ意欲や意識が無ければ、その機会は訪れません。現代の社会に必要とされるスキルは様々ですが、どの時代にも変わらないものが有ります。それは人という資源であり、社会は人の「和」を以って構成されているということです。青年経済人として進取の精神を持ち合わせ、時代の変化に機敏に対応し、人に希望を与える事が出来る、そんな現代に必要とされるリーダーとしての可能性を開花させる研修を実施して参ります。

 青年会議所は運動を広くPRする団体ではないという言葉を入会当時に聞いた事があり ます。しかしその後は段々と、青年会議所運動を広くPRしていくべきだと、変化してきたように感じています。今後の10年先、20年先まで西宮青年会議所の発展を考えるのであれば、西宮のあらゆる市民、行政、企業、諸団体から信頼される団体として認知度を高めなければなりません。さらには、サポーターとなって私達の運動を応援していただける賛助会員を募る必要もあります。広報を上手く活用することによって運動の発信性を高めると共に、会員拡大の一助と成る様な発信を行い、西宮に必要とされる西宮青年会議所を確立します。

むすびに

 青年会議所の運動の中には社会開発の機会、国際交流の機会、個人開発の機会、ビジネスの機会があります。これらの機会はJCに所属していれば勝手に提供されるものではなく、自らの力で掴むか掴まないかです。今、目の前にある環境は自分で作り上げたものであり、鏡に映った己の姿と言い換える事が出来ます。JCが楽しくない人は、JCの魅力に気付こうとしていません。JCが修練にならないと感じる人は、自分自身に満足しています。JCに価値が見いだせない人は、JC活動を本気でしていないのです。

 日本と言う素晴らしい国家で、当たり前にJC活動が出来る私達は幸福です。だからこそ、私達は歴史ある西宮青年会議所の会員として、選りすぐりの青年経済人に成長しなければなりません。西宮の和、日本国の和、世界の和を担っているのは、紛れも無く私達青年世代であるという自覚を持たなければなりません。
「ノブレス・オブリージュ」、高貴さは義務を伴う。
私達には果たすべき義務がある。
何故ならば、私達は世界に誇れる「和」の精神を兼ね備えた西宮のJAYCEEだから。

※「プロボノ」  「良い公共のために」、「公共の利益のための無料奉仕」を意味し、社会人が仕事を通じて培った専門的知識やスキル・経験やノウハウなどを活かして社会貢献すること


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